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代  表 帰山雅秀
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千歳サケのふるさと館

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風連川のイトウ個体群保護に関する声明

北海道の淡水魚を守る 北海道淡水魚保護ネットワーク
2006年 9月29日

 イトウ(Hucho perryi)は、『北海道レッドデータブック』(北海道、2000)で絶滅危機、『汽水・淡水魚類に関する新しいレッドリスト』(環境省、1999)では絶滅危惧IB、また国際自然保護連合レッドリスト(2006)においてもCR(絶滅の危険がきわめて高い)に選定され、最優先で保護されるべき淡水魚の一種です。北海道東部の風蓮川はその重要な生息地ですが、本種がおもに繁殖に利用する源流部付近で1980年代後半から10基以上のダム建設が続行され、現在では本種の繁殖に適した自然環境が急速に破壊されつつあることが、最近、北海道大学水産環境科学院の大学院生などの調査研究によって明らかになりました。

 風蓮川の近くを流れる別寒辺牛川流域の本種繁殖地で同様の砂防ダム建設が明らかにされた時、本ネットワークは工事の即時凍結を求めるアピール文を発表しました(注1)。その後、工事主体者(防衛施設庁・札幌防衛施設局・厚岸町)は、別寒辺牛川におけるダムの効用(下流域での濁水防止効果)と、自然環境に与える悪影響を再検討し、ダムがほとんど無効なことを認めたうえで、本種の遡上・繁殖を妨げないよう、未着工であったダム計画を撤回し、すでに完成したダム1基の堤体に隙間(スリット)を新設するという、異例の決定を行ないました(注2)。

 別寒辺牛川と風蓮川の状況は酷似しており、同様に本種生息地を脅かす砂防ダムに対して、いっぽう(風蓮川)だけを放置し続けることは著しく整合性を欠きます。本種の風蓮川個体群が、これらダムによって絶滅の危機に瀕していることは明白であることから、本ネットワークは、一刻も早く有効な保護対策を策定し、実施することを強く要望します。

(注1)「別寒辺牛川水系砂防ダム事業の即時凍結を!」
(注2)「矢臼別演習場・別寒辺牛川水系土砂流出対策等検討委員会最終調査報告書」