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代  表 帰山雅秀
事務局長 後藤 晃

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千歳サケのふるさと館

電子メール

日本水産学会誌68巻1号 24-28頁 (2001年1月)

鷹見達也1 ・吉原拓志2 ・宮腰靖之1 ・桑原 連2

1北海道立水産孵化場、2東京農業大学生物産業学部


 石狩川水系の千歳川では、1980年代後半にブラウントラウトが見つかった。本論文では、千歳川支流の紋別川におけるアメマスとブラウントラウトの分布状況と生息個体数を明らかにし、両者の分布の置き換わりについて考察した。

 紋別川は流程約17.5kmの山地渓流である(図1)。千歳川には、紋別川との合流点の約1.5km下流に発電用のダムがあるために、それより下流側から紋別川に魚が遡上することはできない。また紋別川には、上流と支流の紋別沢に高さ1mほどの堰堤がそれぞれ1基ずつある。

2000年9月11~13日に、長さ100mの定点を16か所設定して調査を行った。各定点では、電気漁具を使って魚類を2回繰り返して採捕した。各定点の生息個体数を二回除去法で推定した後、全流域の生息個体数を計算した。

 最も数が多い0歳の魚が電気漁具では効率良く採れなかったと思われるため、個体数推定は1歳以上のアメマスとブラウントラウトについて行った。

 100m区間の推定生息個体数は、堰堤の上流ではアメマスが多く、ブラウントラウトはわずかであった。これに対して堰堤から下流ではアメマスとブラウントラウトの両方が生息していたものの、ブラウントラウトの方が多く、下流ほどその傾向が強くなった(図2)。

 堰堤より上流(5.0km、6定点)の生息個体数は、アメマスが279尾、ブラウントラウトは8尾、堰堤より下流(12.5 km、10定点)では、アメマスが125尾、ブラウントラウトは734尾と推定され、紋別川の全流域では、アメマスが404尾、ブラウントラウトが742尾であった(表1)。

 堰堤の上流にブラウントラウトがほとんどいなかったのは、堰堤によって上流への侵入が妨げられているためと考えられる。紋別川の最下流部の最高水温が 15℃とアメマスにとって好適であることから、ブラウントラウトが紋別川に入る以前は、アメマスが中流域や下流域にも多く生息していたと思われる。したがって紋別川の堰堤から下流域においては、約15年間以内に優占魚種がアメマスからブラウントラウトに置き換わったといえる。